ニュルブルブルーなAP1-120型のS2000、10万kmを超えて次の10万km、10年先まで乗れる、
そんなクルマ造りを目指してエンジン、ミッションに入念なOHを施して、同時にクラッチも交換する、
そんな行程をレポートします、参考にして下さい。
新品のシリンダーはゴムバフを使いバリを落として修正します、通称「砂落とし」ですね。
シリンダーは各部の面をストレートエッジ(青)や定盤を使い平面度を検査します。
写真のシックネス隙間ゲージ(赤)は0,02mm、室温摂氏20度で計測して
歪みがこれ以上の場合はSPOONでは使いません、0,02mmが私たちの限界値です。
整備マニュアルに記載されている公差基準は下記でした。
↓
シリンダー上面の歪み 標準値 0.07mm以下 限度値 0.1mm
ヘッド面の歪み 標準値 未公開 限度値 0.05mm
シリンダーブロック下部を見上げて撮影したら研磨されたシリンダー壁が実に妖しく輝いていました、
オイルジェツト(赤)もピストンの裏側を狙って虎視眈々と。
シリンダー(青〇)の上にダミーヘッド(赤矢印)を装着して歪みを取り、縦横上下の各部を計測してシリンダーと
ピストンのオイルクリアランスを確認、調整する最終段階のチェック行程です。
ピストン、ピン、コンロッドなどのムービングパーツは重量を0,01g単位で各シリンダーの重量差を
それぞれ追加工して合わせこみます。
ピストン頭部の数字(青)はピストン単体重量、その下にピン、コンロッドとアッセンブルした全体重量を記入識別、
参考までにオーバーサイズピストンKitは重量を計測して近似値で4個をセットして1台分を梱包製品化してあります。
商品情報はこちら → PISTON,PISTON RING SET[OS]
クランクメタル合わせ、子メタルを合わせた腰下はスラスト方向のクリアランスを測定、
ドカンとクラッチを蹴るように運転すると此処のメタルに衝撃が、ソフトにジターと発進させて、シフト変速もソフトにつなぐ、
全ての運転操作を丁寧でストレスフリーに。
そうするとクルマはスムーズになり、結果速くて長持ち、いいことだらけ、荒いドライビングに一理なし、
徹頭徹尾なめらか運転で「よろしく」とクルマも申しております。
山田ポンプ製7枚タイプのウオーターポンプです、新品のポンプの動きは渋~いのでエンジンの慣らし運転を
しながらウオーターポンプも慣らして行きます、羽を小さくして水抵抗を減らしたりしたな~そういえば、、
左が新エンジン、右が旧エンジン、新旧エンジンがそろったので記念撮影です、七五三みたい ❤
赤〇はSTDの摂氏78度、SPOONサーモスタットの開弁は68度の設定です。
商品の詳細はこちら → サーモスタット
バッフル付きオイルパン、赤矢印はチェーンで駆動されるオイルポンプ、
青矢印が追加されたバッフルプレートですね。
このプレートが高G環境で走行したときのエンジンオイルの片寄りを規制し、油面を低く安定させて、
STDで起きるオイルポンプのエア噛みを防止します、油圧切れだと最悪な状況に「必ず」なるから、
ほんとブローしても知らないんだから。
商品の詳細はこちら → バッフルオイルパン
インマニは水平な状態で組み付けましょう、ポートの段差なしが目的です。
エキマニもスロットルもテンショナーも全部にチョットした気配りを目指しているのが私達のチューニングの基本です。
装着すればOKだと工場ラインの量産基準と同じになりかねません、さらなる先にある新しいクルマの基準を目指したい、
それが私達をつらぬく骨、理念なのです。
補機類、エンジンハーネス、ホースなどの再使用する部品はよ~く見て組み付けます、
10万km先に起きるかも、を予知して手前で手当てしてこそプロ、だてにサーキットで
過酷に走らせてません、ほんとうはレースが好きなだけですけど(笑)
エンジン搭載位置もなるべく後方に、マウント穴のガタを使うだけで2mm後方に搭載が可能だよ、
250Kgもの重量物を何で前に積んじゃうの? そんな作業は許さないゼ。
写真の向こうに写るコアラにゼッケンが、
エンジンを送ったオーストラリア在住のユーザー様からのプレゼントです~(嬉)、
ご家族と愛車の写真も、チョコも頂きました~、、お客様から嬉しいお手紙が、うふふ。
エンジン搭載後に次はオーバーホールされたSPOONミッションを積んだら2柱リフトに上げて、
ギヤを入れて無負荷とブレーキングしながら負荷を掛けた状態で試運転します。
聴診器で測音しながら目視で振動も確認するよ。
前後から、真下から、エンジン、デフまでの「垂線」は眼でしっかりと見ましょう、
マウント類のボルトと穴にはガタがあるので適当に組むと大げさに言うとジグザグに搭載されて
これが振動を生みます、エンジンブレーキで減速するとグヮ~て音がしたりします。
心静かに見るとだんだんと判ります、真直ぐじゃないと、何か妙~な感じだから、。
商品の詳細はこちら → トランスミッションオーバーホール
リジカラも装着させて頂きました、青矢印、ボルト穴とボルト径に注意。
もう最近はリジカラ効き目があるのかな~的なご質問は減りました、最近は、
Hondaマニアのリジカラから全てのクルマ好きのリジカラに、皆さんに認められたいな~❤
アクアラインの海底トンネルを経由して千葉まで慣らしで往復、千葉はもう風が初夏の香りでした。
試乗の後にアライメントを精密に調整して終了です。
このS2000の全部の作業の合計は¥1,157,525円、
参考までミッションだけOHして脱着交換した場合の工賃は42,000円、パーツ類は¥210,000円、
クラッチだけ交換の場合は部品¥77,700円、工賃42,000円。
価格にみあう真のクルマのエンジニアリングを提案しています。
Posted by吉澤