7月27日大分県のオートポリスにて、スーパー耐久シリーズ 2025 第5戦となる「スーパー耐久レース in オートポリス」が行われました。
今回のオートポリスでは、 通常日程の土曜日予選、日曜日決勝で行われ、ST-Z クラスを除く45台が5時間後のチェッカーを目指して出走しました。
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木曜日から練習走行を開始した私たちは、昨年から変更されたサスペンションセットが有効かどうか、ドライバーのインプレッションはもちろん、ログデータからも状況を分析します。
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感触はまずまずですが、よりセットアップを煮詰める為にフロントのスタビライザー交換を行いました。
FL5は構造上スタビライザーを交換する為には、サブフレームを降ろしてギヤボックスまで外す必要があります。セッション中やインターバルでは時間が足りない為、走行後のメンテナンスで作業。
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翌朝金曜日、午前中から行われたS耐専有走行でフィーリングを確認。各ドライバーフィーリングは良好。
燃費確認とタイヤライフ確認に移ります。
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しかし、セッション終盤の走行中突然エンジンストールが発生。
再始動は可能で、なんとかピットに戻る事ができました。
エンジン制御系を中心に、ストール前後のログデータを見返しますが、決定的な不具合が見つかりませんでした。
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午後の走行に向けて、各項目のデータを総合的に見直してプログラムを入れ直します。
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2回目の専有走行はストール症状が改善できているか、確認をしながらセットアップを進めます。
順調に走行を続けていましたが、またしてもエンジンストール。
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もう一つのストール原因として考えていた、配線の接触不良の修正を行います。
インジェクター廻りの配線不良が疑われますが、交換するにはエンジンハーネスをASSY交換するしかありません。
残りの走行を断念し、エンジンを降ろして地道に交換作業を進めます。
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予選前に行われる土曜日のフリー走行。
走り出しこそ順調でしたが、10LAPを経過した所でエンジンストールが再発。
昨晩から更にECUデータを分析を進めており、インジェクター廻りの閾値を変更しより柔軟に対応できるプログラムに変更しました。
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オートポリスの予選はいつもの通りA.Bドライバーの合算タイムで行われます。
現状で車両に不安を抱えたままの私たちは、最低限のラップ数でアタックに臨みました。
十分な状況でない中予選アタックをまとめて、クラス5番手からのスタートが決定。
Cドライバー予選では制限時間20分の走行枠をフルに使用して、車両状態を確認。
ここでようやくロングランでもエンジンストールが起きない事の確証が持てました。
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決勝に備えてピット練習。
作業エリアの狭いオートポリスでは、セーフティーカーなどのタイミングで全車一斉にピットインする事があります。その為、通称「ダイブ」と言われる斜めに車両を止める位置でも練習を行いました。
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ついに決勝日。
トラブルが続いたレースウィークですが、何とかここまでたどり着きました。
少ない走行時間の中煮詰めたセットアップで5時間レースを走り切ります。
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不安定な天候で小雨がちらつく中、Bドライバーの小出選手でレースはスタート。
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車のバランスは良く、4周目には4位にポジションアップ。
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14周目には3位と順調な走りだしで、Cドライバーの西村選手へバトンタッチ。
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ピット作業後は2位へ浮上。しかし、残り約3時間を残すところで他車からの接触を受け、左リアにダメージを受けます。
大幅にアライメントが狂い、車の挙動が不安定になりペースを上げる事ができません。
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順位を落とすものの、懸命の走りでAドライバー山田選手へ交代します。
山田選手に交代直後に起きた他車のクラッシュにより、セーフティーカーが導入されます。
私たちはこのセーフティーカーの恩恵を受ける事ができず、後続とのギャップが大きく縮まる結果となりました。
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その後も不安定な車を必死にドライブする山田選手から「ABSのワーニングが出た」と無線が入ります。
エラーコードから車輪速センサーの故障と判明。
ピット内で作業を進めたところ、ダンパーの損傷に起因する不具合である事がわかり、ダンパー交換を行いレースへ復帰しました。
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決勝でもトラブルが続きましたが、私たちは7位でチェッカーを受ける事が出来ました。
今回も経験した事のない新しいトラブルに見舞われましたが、一つ一つチームが協力し乗り越える事が出来ました。
悔しい結果となりましたが、トラブルから得られ学ぶ事は非常に多くあります。
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全てを前向きに捉えて、対策とテストを行い次戦の岡山へ挑みます。