普通のトランスミッションはメインシャフトとカウンタシャフトの2軸(2本)で構成されていますが、
S2000のトランスミッションは3軸(3本)タイプ、赤〇部が追加されたセカンダリーシャフトの格納部分です。
このシャフトの存在と、その組み立て公差がシフトフィールと音(振動)に影響する、そんなレポートです。
エンジンパワーは赤→部のメインシャフトに入り、各ギヤを経て下側のカウンターシャフト青〇部に伝達され、
S2000の場合は赤〇部のセカンダリーシャフトに上がりプロペラシャフトへ出力されます。
メインとカウンターシャフトの構造は凄く良く練られた設計で軸間距離も十分でそれゆえ強度も確保、
この写真は縦で撮影ですが搭載された状態は横なので各部の作動は横に寝かせてチェックします。
赤〇部はオイルガイドパイプに小さく開口されたオイル流路、
こんな流路全体のスラッジ詰まりをOH時に完全に洗浄して拡大目視で検査、
スラッジ、バリなど取り去り組み付けます。
赤〇部は内臓されたミッションオイルポンプ、S2は前後に長いトランスミッションなので
高速道路を6速だけ使い長く運転するとギアBOX内の潤滑油の循環が悪くなるんですね、
時々は5,4とシフト操作する事でシンクロリングの固着を防ぎましょう。
また高速を速度120km程度で走行中に5~6速でエンジンブレーキをかけるとシフトレバーが大きく振動したり、
「グわー」とうなり音がしたりするクルマはデフ、クラッチ、ミッション、ぺラシャの順番で原因が予想されるんですね、
これら駆動系の全域が駄目だと加速時でも減速時でも、速度に関係なく異音(振動)があります。
そして、指で持つのはセカンダリーシャフトの起動トルクを調整するためのシム
プレート厚は0,90mm~1,47mmまで20種類存在します。
セカンダリーシャフトが組み付けられたリアピース部分、
赤→部がセカンダリーシャフト、青→部がプロぺラシャフトに連結されるコンパニオンプレートです。
赤→はセカンダリーシャフトのテーパーローラーベアリングを受けるベアリングアウターレース、
セカンダリーシャフトの大きな軸力ストレスを受けるテーパーローラーベアリング部の公差管理が、
S2のミッションの肝、レバーね。
このレースにセカンダリーシャフトを挿入したリアピースをAssyでミッション本体に組み付けます。
起動トルクの測定(黄色ラインが8~10kgf・cmの範囲)
セカンダリー起動トルクの数値はマニュアルでは19~29kgf・cm、
しかし私たちSPOONは10kgf・cm±1kgf、cmで組んでいます。
このトルクの数値は指先で軽く触る程度、小抵抗値を計る専用のトルクレンチでシャフトを回転させながら
慎重に計測を繰り返します。
写真は縦ですが作業は横に静かに寝かせてね、ちなみにこの工具はバンビーノ~レンチて呼んでます。
Posted by 吉澤