B型系エンジンは全シリーズボア81mm、ボアピッチ90mmです。
シリーズ最初の16Aはボア81mm、ストロークが77、4mm、
16Bはボアストは16Aと同一値、しかしシリンダーを11mmハイデッキ化、
上死点を上げてコンロッドのふり幅を減らすことで高回転化したんですね。
ハイデッキ(ロングブロック)の16Bと18Cのシリンダーは
打刻以外は完全に同一品です。
鋳造したブロックのシリンダー壁を追加工する製造工程でこの基本設計
を採用することで、製造時間の短縮、またピストンやヘッドなどに互換性
が生まれコストカットに貢献したそうです。
私たちが当時16→18化キットを世界中に販売をできたのも
この基本スペックの互換性を利用したから可能になりました。
これら16A~B16B~18Cの各B型エンジンは今でもどれもが素晴らしい
Honda Sports を良く表している名エンジンです。
コンパクトだから軽くて、エンジン出力が高く、潤滑系などが強い、
いまでも十分に通用する特級のスポーツエンジンなんです。
そういば軽にB型を積んだ夢のロードゴーイングレーサーの製作が
密かにブームだそうです(噂)
今回は16B型エンジンの新造依頼なので新品ブロックには
全ての部分の段付きや、砂落しの加工を施します。
リューターでの切削、研磨の次は高温高圧で洗浄します。
加工→洗浄を終えたブロックは組み立て測定室で熱引きで1晩寝かせて落ち着かせます。
寝かせると言えばカートのシリンダーはオイルに漬けて6ヶ月以上寝かせるんだそうで、
本当かしらん?
ブロック底部に打刻されたメタルクリアランスの「基準値」
のデータです。ただし参考程度に、
ブロックとクランクの親メタル合わせは、
先ず基準のメタルにオイルを塗布して、軽くふき取り、、
クランクをそ~っと、、載せて、
組んで分解してまた組んで、、ひたすら測定します。
16Bと18Cブロックには回転運動で生じる偶力振動の対策で
クランクキャップにステッフナーが追加で採用されました。
16Aにはないロングブロックだけの特徴ですね。
エンジンのカットモデルを加工して製作、 Oil jet からオイルが噴出しているのを目視可能にしちゃいました、
90年代当時はレースでエンジンを良く壊して、、そこで圧送してリターンするオイルと水を実機で観察したかったんですね~。
ジェットからは高回転時になるとリリーフが開いてピストンを裏側からオイルで冷却、ピストン温度を下げる効果で
耐久性が飛躍的に向上しました。
でもオイルポンプの駆動トルクが凄くて5~6馬力、ウオーターポンプやオルタなども良く研究しましたね、世界各地の
24時間耐久レースに参戦しながら、(笑)
赤→はアルミブロックに鋳こまれた鉄シリンダースリーブ、接触面を広くするため波々形状がステキです。
青→は冷却水の水路、ウオータージャケットですね。
↓
2PHead Gasket
私たちはオイルジェットは再使用しません、(キッパリ)
振動で真鍮パイプと本体部のロウ付け部が欠脱したり、グラグラしている事を
見て知ったからです。
Posted by 鈴木