クラッチの異常な音(振動)で走行3万kmのS2000が入庫しました。
入庫時に在庫のフルリビルトされた28万kmのSの操作系を試されたユーザー様、
凄~く驚かれました、「これEです」、こんなふうにしたい、ハイ、おまかせあれ、
そんなクラッチ交換のレポートです。
黄Sの詳細はこちら
作業前チェック、走行は3万kmのみ、凄く程度が良さそう、あくまで分解する前の印象ですけど。
クラッチ交換なので先ずはサブフレームを150mmくらい、途中まで降ろしてスペースを造り、
元のトランスミッションASSYを降ろします。
右がおろしたミッションのクラッチハウジングです、内部は黒く粘性のある異様な汚れ方でした、
これは何かありそう、事件の匂いが(笑)
商品情報はこちら → TRANSMISSION OVERHAUL
激しい汚れの主原因はクラッチディスクが焼結し摩滅していました、カーボンのディスク磨耗材も
フライホイル表面も高温で激しく炭化、焦化してました、メルトダウン状態ですね。
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FLY WHEEL CLUTCH COVER CLUTCH DISK[METAL] CLUTCH DISK[NON-ASB.] RELEASE BEARING
左がフライホイル、右がカバーのそれぞれ摩擦部分を拡大して撮影しました。
両表面は全面的にあまりの高温で蒼焼した状態、その温度は摂氏800度以上と予想されます。
エンジンマウントに亀裂が、、クルマは距離じゃわからない、
3万kmでこの状態は相当にハードな走行環境だったんでしょう。
マウントは新品に、このマウントはブロックとサブフレームの間にレイアウトされ
各組み付けボルトの穴ガタが大きいんですね、そんなガタを寄せ集めて意図してエンジンを後方に積みます。
詳しくはこちら → 過去ブログ
右側のノーマルミッションブラケット、よれよれでした、
取り付けボルト穴は楕円に拡大、相当に酷使されてきたんでしょう、デモ大丈夫です。
SPOONマウントにはこのブラケットが付いてますから(宣伝)
商品情報はこちら → ENGINE.TRANSMISSION MOUNT SET
チェンジロッドに塗られた黄色い、たぶん「リチューム系」のグリスでしょうか?
ボデーカラーとコーディしてオシャレさん、てなわけありません。
この部位には「モリブデン系」グリスが推奨です、グリスは色より機能で選びましょう。
新旧クラッチレリーズ比較、元カーボン系のクラッチASSYはプッシュ式に改造されたタイプでした、
量産のマスター容量では十分な耐久品質の担保に無理があるのかも知れませんね。
クラッチマスターシリンダー、シール 価格は¥7,800円
オーダーはパーツバンクにね。
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Honda Parts Bank
赤 オイルもれ、青 たび重なるクラッチ不良で調整ナットには傷が、、
作業終了後は慣らしをかねた試乗チェックです、
今回は外環練馬から三郷~浦安~羽田~第三京浜
を使い東京の外側を1周しました、丁度距離100kmでした。
右ドアのサイドシェル下部に見えるのはラップモニターの受光部、このクルマには何かやるな~おぬし的な、、
クルマ好きだけが感じる特殊なオーラを醸し出してますね。
試乗でダメ出しをして作業の最後が精密アライメントです。
ブッシュ、ダンパー、リジカラなどを交換装着の場合は
「先ず走り、各部ナジませて」からアライメントが理想の作業フローなんですね。
一つ手間を掛けて、手間を惜しまず、サクサク、シュ~も大事ですが、
作業したら、時と距離を経て「豊饒」させることも大事なポイント。
作業の総額は¥524,000円、ありがとうございました。
静かに佇むS2000、バックの絵画は「キュビスム」の名作だそうです。
1907年に26歳の「パブロピカソ」さんが画いた『アビニヨンの娘たち』。
Posted by 吉澤