もっともダメージが深いピストン頭部です、ブローの原因はこの部分から起きたと考えられます。
青〇部分に発生したデトネーション(異常燃焼)によりピストンが溶解し「棚落ち」した痕跡が見てとれます。
ピストンは頭部が溶解、高い爆発力に押され青→に流れた、リングはピストン溝がなくなり宙ぶらりんに、
次にシリンダー摺動部とリングがスカッフィング(焼付き)を起こして破断、
バラバラに粉砕、分解したリングの破片は燃焼室やシリンダー下部に飛びちった。
ピストンの裏側を点検してみると赤〇部分に異常が、
鍛造のピストン素材は溶点を越えて「発泡」していました。
ピストンスカートの青〇部を拡大して見ると、
とても良い状態ですね、スカート部分には純正ピストン固有の
特殊加工されたオイル溝も残り異常磨耗はありません。
参考までにダメージのない他のピストンを撮影、普通はこんな感じですね。
上死点の近辺で起きたリングの引っ掛かりからシリンダー壁に焼付き、
傷はミリ単位の深さでした。
ヘッド燃焼室の冠面は破片の掻き回しで「異常」な状態でした。
燃焼室にはリング破片が飛び散り悲惨な状態です、その部分を拡大撮影しました。
カム廻りにも一部に問題がありました。
指差し部分のロッカーホルダーシャフトに虫食いが起きていました。
赤〇部分、傷が深くてシャフトとロッカーは新品に交換です。
通常10万km程度を走行したエンジンは多少の偏磨耗痕が
あります、そんな場合はバフ研磨を施して再使用します。
いよいよNEWエンジンの搭載です、結局今回は旧エンジンで
使えたのはヘッドカバーだけでした(涙)、
もう少し早く入庫していたらブロック、ヘッドなど再使用が
可能だったかも知れませんね。
朝一の冷えた状態で始動時の「瞬間」その一瞬、
1~2秒だけ「カタカタ」とか「コンコン」とか
聞こえませんか? 油圧が上がると普通に「サ~」と
アイドルしていても、、朝一番、冷えたエンジンの
最初の音に注意です。
エンジン慣らしとダメ出しで試乗、エンジンチェックが点灯したり
フィーリング不調などHIM対応で原因を見つけながら
対処して都合3回の試乗を繰り返しました。
NEWエンジンに交換で総額は¥1,117,089円、でした。
Posted by 吉澤