写真はオーバーホールで入庫したS2000の走行
距離が16万㎞の個体から取り外したピストンです。
オイル交換などはオーナー自らが施すなど比較的よく
メンテされてきた車両です、近年オイル消費が多くて、、
さてそんなエンジンから抜いたピストンの裏側から
私、城本がレポートします。
入庫したSは先ずミッションを単体で降ろしてからエンジン脱着作業に着手します、
降ろしたエンジンは180度回転させクラッチを先に取り外し、、、
理由はクラッチはスラッジが多く、先に取り出す事で作業場をキレイにしたいからです。
次に補機類のない状態でのベアエンジンは洗浄、測定のためにエンジン室に運ばれ、
約30分で完全に分解されます。
そのエンジンのピストン側頭部、燃焼ガスがTop、2ndリングで止め切れず、オイルリングも
通過してシリンダーブロックに流れています。
これだとオイル消費が多いのも肯ける、そんな状態を表わすショットですね。
外した古いピストンをなぜに測定するのか?
その理由は測定部の摩耗測定、首を振るピストン側頭部の摩耗量を知りたいからです。
首ふり?ピストンって真っ直ぐ上下に動かないの?
そうなんです、燃焼行程中(特に高負荷時)のピストンは燃焼圧を受けることで真っ直ぐ
ストロークしますが、吸気、圧縮、排気行程中のピストンはクランクから側力を受ける為に
首を振りながらシリンダーの中を動くんですね~。
この古いピストンに残る溝加工された部分の摩耗痕、 これを手間を掛けても測定するのは
使用環境やオイル特性、油種の選定で大事なデーターになるからなんですね、
赤矢印部の溝の高さは50ミクロン、このピストンの場合は僅かに残る溝部にオイル油膜が形成保持され
シリンダーとピストンの金属タッチを防いでくれてました。
そして、最初の写真を引きで撮ったのがこちら。
実はピストンの裏側のショットだったんです。
茶褐色の痕跡は燃焼ガスがオイルリング溝を通過した痕、
リングはフラッタリングしてるのでフローティング状態、
ピストンの上下働でリング溝に流れ込む燃焼ガスに誘われた
リングは回転します。
これは摺働部の一部だけがリング、シリンダーを偏摩耗
させないエンジンライフの設計意図が生きていますね。
う~ん、バルブステムからのオイル下がりを防いでいるステムシールの張りが無くなり、
オイルを吸うことで燃焼したエンジンオイルが積層して、、
バルブフェースや燃焼室はまるでヨ―ダさん状態でした、、、ヨ―ダさん御免なさい。
カムは測定箇所が多いのでTopだけ計測、そこだけ測定する理由とは、、
検査表はスプーン製ハイカムの納入時に添付される検査成績表です、
黄色のマーカー部の測定単位に注目して下さい、
何と1、00ミクロンmm、サブミクロン単位、
それがカムプロフィールしているので、現業現場では測定が出来ません、キッパリ。
カムとバルブの間でレバー回転しているロッカーアーム、実はHondaVTECエンジンの
いくつかの基幹技術、その集積で非常に神経質なパート、、で赤○部を拡大すると、、
精緻な製品肌に囲まれたローラー部はカムに押しつけられ、回転しながら摺れて、泣き叫びながら
バルブを開閉しています。
カムがハイカムに切り替わり8000回転を越えるとバルブの重量、吸入空気の重量、
バルブシートとの反力など様々な要因と慣性力が複雑に作用し、数ミクロンの肌の差が致命的な
ブローの原因になるのです、、、シフトミスでのバルブタッチは別のことですよ。
同時に交換されたSPOON リビルトミッションAssy ¥210,000
ミッション室で新、旧トランスミッションを記念に撮影しました、
エンジンもトランスミッションも車体も、Hondaらしさ、精緻なHonda World、
1台でも多くのHonda Sportsの感動ために真心を込めて、
そんな真のHondaファンに向けて、私たちは存在しています。
納車前の完成試乗で、バス停の横の自動電話でパチリ、1920年製、時代は大正かな?
2013年の1月、数十年後に同じ場所で記念撮影したいです、横浜本牧にて。
赤レンガ倉庫前でパチリ、試乗後にアライメント調整して「本日」引き渡しです ♡ パチパチ、
お預かり期間は1週間、作業の総額は¥170万円、ありがとうございました。
Posted by城本