今日は群馬県からDC5のお客様がご来店です。
走行距離が210,000kmを超え、この先も永く乗りたいので、各部をオーバーホールして
リフレッシュしたいとの事でした。
「今まで交換したことがあるのはフロントのハブのみで、あとは油脂類の交換だけ。」と
聞いてちょっとビックリ!よほど丁寧な運転をされていたのではないでしょうか。
いつものように試乗チェックを行い、メンテナンスの必要箇所を洗い出し、着手します。
まずはエンジンOH。
オイル消費はほとんど無いようでしたが、やはりトルク、パワー感は落ちこみ、
タイプRらしい更け上がりの良さは無くなっていました。
エンジンを降ろしてみると、写真左のようにヘッドカバーパッキン部から
オイルが滲んで垂れてしまっています。
K20Aエンジンでは良くあることですが、酷くなるとエキマニに伝ってしまうので
注意が必要です。
写真中央を見るとエキマニの遮熱板が割れてしまっています。作業前に高回転で
ビビリ音が発生していたのはこれが原因だったのでしょう。
そして外されたエンジン補機は入念に洗浄され、タイプワンエンジン室にてあらかじめ
精密組み立てされたエンジンに組みつけられます。
写真左はインマニのポートですが、指でさしているエッジにバリが立っているので
装着前にはきれいに取り除いてあげます。
一方、写真中央はエキマニのポート。純正エキマニは写真のように溶接部分が盛り上がり
ポート径を大幅に狭めてしまっています。
今回は純正部品を極力使用してのリフレッシュが希望だったので、エキマニのポート
溶接部をリューターで修正し、排気効率を少しでもあげられるよう加工を施します。
NAでは特に、このような地道な努力が重要なんです!
また補機類で以外に見逃しがちなのがウォーターポンプ(写真左)、プーリー(写真中央)。
ウォーターポンプは手で回してみると明らかにゴロゴロ感があり、スムーズさが失われています。
単体で交換するのは結構大変な作業ですので、エンジンOHの際には同時に
交換をした方が良いでしょう。
プーリーも同じく21万キロ走行しているだけあり、ベアリングにがたが有り、
ベルト面が磨耗し段差が生じていました。このまま使用すると新品に交換したベルトも
すぐにダメージを受けてしまいますので新品に交換です。
そしてエンジンミッションマウントは4箇所全てに亀裂が生じていたので交換します。
これでシフトチェンジの時のエンジンミッションの触れが収まるので、シフトフィールは
格段に良くなるでしょう。
次はミッション。
作業前の試乗チェックでは各ギヤの入りは、それほど悪くありませんでしたが、
オイルシールからのオイル漏れ(写真下中央)と異音(特にエンジンブレーキ時の
ジャラジャラ音)が気になったので開けてチェックすることにしました。
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ミッションを開けてみると予想通り、距離にしてはギヤ、シンクロの磨耗は少なく、
その代わり各ベアリングのガタが大きく、異音も出ていたのでベアリング類は全て
交換する事になりました。
ギヤ、シンクロの交換だけではなく、この過走行のベアリング類を放置すると走行中に
ベアリングがばらけてミッション内部に散らばってしまうことがあるので
オーバーホールの時は入念なチェックと走行距離の管理が必要です。
いつものごとくDC5ミッションのウィークポイントであるカウンターシャフト、
リングギヤのクラックチェックを行いましたが、このユーザーは街乗りがメインなので
もちろん無事再利用ができました。
次はサスペンションです。
街乗りメインの走行のようですが、やはり走行20万キロを超えている車両のブッシュ類は
亀裂が生じ、つぶれてしまっているため、乗り心地はブッシュの吸収がほとんど無く
しかもステアリングが常に取られてしまう感触でした。
DC5の純正サスブッシュはほとんど単体では販売していないため、アームごと交換となります。
今回、どうせ交換するなら車高は少し下げ、スポーティーにしたいとのご希望だったので
スプリングのみSPOONプログレスプリングに変更することに。
SPOON DC5用プログレスプリングはノーマル比25mmダウン、スプリングレートは
少し上がりますが、ノーマルのような突き上げ感は抑えられ、しなやかなフィールとなります。
そして最後に今や定番となりつつあるサブフレームリジットカラーを装着し、
アライメント調整を行って作業完了。
リジットカラー装着で、リフレッシュされたサスペンションの動きもよりしなやかに、
新車時以上に上質な乗り味となるでしょう。
今回フルオーバーホールをしたことでクルマ全体が新車以上の
フィーリングとなりましたね!
もう20万キロ目指して乗り続けてくださいね〜。
ありがとうございました!
Posted by 原 Array Array