今日は愛知県からCL7のお客様です。
「2年位前からエンジンの調子が悪く、時々吹け上がりが悪いことがあるので見て欲しい」との事でした。
エンジンの調子が良いときもあるとの事でしたので、最初は電気、燃圧系を疑いましたが、いざエンジンを始動しチェックしてみると、
?スターターの初爆が無い。
?アイドル時、各気筒の燃焼バランスが悪く振動が出ている。
等の症状からエンジン内部の破損と判断し、まずは各気筒のコンプレッション(圧縮圧力)を測定することにしました。
プラグ、イグニッションコイルを外し、1番シリンダーから順にコンプレッションゲージで
測定をしていくと、1,4番シリンダーが15kgf/cm2で正常だったのに対し、2,3番シリンダーは11kgf/cmと明らかに圧縮圧力に差が出ていました。
オーナーに聞いたところ、ちょうど2年位前にオーバーレブを一回だけしたことがあるとの事でしたので、バルブ周りに何らかの損傷があると推測し、エンジンを下ろしてチェックすることになりました。
写真はシリンダーヘッド。バルブをばらす前に燃焼室を目視でチェックしましたが特に問題なし。
次に各インテーク、エキゾーストポートから灯油を注ぎ満たしたところ、2,3番のバルブとバルブシートの密着面から灯油が漏れ出していることが判明しました。
全てのバルブをばらし1本ずつチェックをしていくと、エキゾーストバルブの4,5番の2本が曲がっていました。
写真中央はその曲がっていたバルブですが、緑矢印部を見るとバルブシートにきれいに当たってないのがわかります。
また写真右はそのバルブシート。指している部分のバルブシート幅を見てみると、基準の約3倍まで広がってしまっています。
本来このバルブとバルブシートが密閉されコンプレッションが保たれているのですが、バルブが曲がってしまったために圧力が逃げてしまったのです。
その他シリンダーブロックにも傷があったため、再使用できない部品も有りましたが、SPOON K20AエンジンOH ASSYを搭載することになりました。
写真は重量バランス取りを行い精密に組み上げられていくNEWエンジンです。
写真中央はポート加工前ですが、赤く塗られている部分がエキゾーストポートの段つきとなってしまいますが、写真右のようにきれいに研磨されます。
そしてエンジン搭載が完了し始動すると、作業前の振動も完全に消え、吹け上がりもスムーズになりました。
約2年にわたりエンジン不具合の診断、修理が続いたようですが、今回原因が判明し、完治できて良かったですね!
まずは慣らし運転をキッチリ行って、全開走行できる日を楽しみにしていて下さいね!!
Posted by 原
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