今日は最近、車を購入したものの、ギアの入りが悪く、クラッチを繋ぐ時にギクシャクするとのことで、DC2のお客様のご来店です。
早速、チェックをさせて頂くと、クラッチペダルも重く、ストロークも少なく、停止状態でクラッチを床まで踏み込んで各ギアを入れようとしてもスムーズに入らず、シフトも重い感触です。
試乗をしてみると、丁寧にクラッチを繋いでも、発進時にはジャダーが発生し、ワンテンポ遅れてから「ガンッ」っと繋がる感じです。
いろいろなケースがあるので、一概には言えませんが、ギアの入りが全体的に悪くなる場合にはクラッチ関係の不良で、2速のみ、または5速のみ等、1箇所の入りが悪くなる場合はミッションの中身の不良というケースがほとんどですので、今回はクラッチ関係で何かが起っている気配です…
先ずはミッションを降ろしてみます。画像はクラッチハウジング内のレリーズベアリング可動部付近ですが、通常ですとクラッチディスクの磨材が磨耗して積もった黒っぽい汚れで覆われている部分に、わりと新し目の鉄粉が確認出来ます。
続いてクラッチを外してみると…
クラッチカバーを外すと、画像左の様に金属の破片の様な物が出てきました!
クラッチディスクをよく観察してみると、画像中央のスプリングを固定しているプレートが折れて外れてしまっています。
大抵のクラッチディスクはクラッチが繋がる瞬間のショックを吸収、緩和する為に、ディスクプレート部とセンターのスプライン部が分割されていて、スプリングを介して1枚のディスクになっているのですが、今回はこのスプリングを固定するプレートが破損してしまった為に、破片が挟まりクラッチが切りきれなくなってしまった為に各ギアの入りが悪くなってしまったと思われます。
黄色矢印部はプレートを固定しているリベットですが、破片を噛み込みながら、クラッチが回転した為に頭が削れてしまっています。更に画像右側はクラッチカバーですが、矢印部の様にこちらも破片が噛み込みながら回転してしまったので内側の部分が削れてしまっています。クラッチハウジング内の鉄粉の正体はこれらが削られた跡ですね!
この状態でもう少し走り続けていたら、ディスクのスプリングが外れ、クラッチカバーとの間に挟まり、完全にクラッチが切れなくなり、身動き不能になってしまうところでした!
画像はエンジンマウントですが、こちらもかなり劣化した状態です。中央の画像は5箇所あるうちの調度、真ん中にあるマウントの新旧比較ですが、こちらもラバーが完全に切れてしまっています。
この中央のマウントが切れてしまうと、エンジンが前後に動いてしまうことになり、連結されているミッションも必然的に前後に動いてしまうことになります。
DC2は手元のシフトレバーからチェンジロッドを介してギアチェンジをする為に、ミッションの位置が大きくずれてしまうことでギアの入りも悪くなってしまいます。
作業前の試乗の際に「ガンッ」っとワンテンポ遅れて繋がる感じはこのエンジンマウントの劣化によるものと思われます。
今回は、今後スポーツ走行もしたいというお客様のご希望で、レスポンスアップを狙ってSPOONフライホイルも同時に装着です!そして走行距離も12万キロを越えていますので、クラッチマスター、スレーブシリンダー、クラッチホースも交換し、これでクラッチ関係のリフレッシュ完了です!
更に、ミッションもなかなか降ろす機会はないので、せっかくだからということで、T/M ASSYに交換して全ての作業完了です!
早速、試乗をしてみるとペダルの踏力も軽く、ストロークも一定で発進時のギクシャクした動きも無くなり、スムーズなシフトチェンジが出来るようになりました。
是非、サーキットで気持ちの良いシフトフィールを楽しんで下さいね!!
今回の作業に掛かった費用は、
フライホイル ¥35,700
クラッチディスク(ノンアス) ¥14,700
クラッチカバー ¥27,300
レリーズベアリング ¥8,400
レリーズフォーク ¥2,090
T/M ASSY ¥168,000
エンジンミッションマウントセット ¥38,850
シリンダーASSYクラッチマスター ¥8,610
シール、クラッチマスター ¥200
シリンダーASSYスレーブ ¥5,513
/>クラッチスレーブホース ¥9,450
クラッチフルード ¥945
T/M オイル ¥11,088
工賃(T/M脱着、クラッチ交換) ¥37,800
工賃(マウント交換) ¥21,000
工賃(クラッチマスター交換) ¥16,800
合計 ¥406,446
作業のご依頼、有難うございました。
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