今回は、トランスミッションオーバーホールで入庫したFD2型シビックタイプRの作業をレポートします。
お客様から「よくサーキットを走るんだけど、シフトの入りがあまり良くないんだよ。特に3速の入りがね~」と相談を受けました。
試乗してトランスミッションの状態を確認すると、たしかに3速に入りづらい状態でした。症状を確認できたのでトランスミッション内部の点検を兼ねてオーバーホールをご提案し、作業することになりました。
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トランスミッションを車体から降ろしたら、ケースを開けてチェック開始です。
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各部に異常がないか点検しながら原因を探ります。いちばん怪しい3速のギアとシンクロを確認します。
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ギアは摩耗していますが、原因になるほどではありません。更に探るとシンクロハブに赤→の摩滅の痕が多数ありました。
青→は、新品のシンクロハブ
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メインシャフトに圧入されている赤→のシンクロハブのシャフト方向に、青→のシンクロスリーブが上下に動きます。しかし、動かそうとしても引っかかってしまいうまく動きません。
シフトが入りづらい原因は、シンクロハブの摩滅によってシンクロスリーブがうまく動かないことでした。
今回の症例は一例ですが、丁寧で確実なシフト操作と、こまめなオイルメンテナンスを心掛けましょう。
タイプワンでは、長くても10,000km以内でのミッションオイル交換をおすすめします。もしオイル交換時にシフトフィーリングが良好になる場合は、そのオイルは使い過ぎです。次回はもう少し早めに交換しましょう。
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今回はギア、シンクロやベアリングなど消耗部品を交換します。原因も判明したので、ここからは通常の工程で組上げます。
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各部、調整しながら組上げていきます。
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出来上がったトランスミッションを車体へ載せ、リフト上で確認します。無事にスムースなシフトフィーリングが復活しました。
路上での走行抵抗をかけた試乗でも問題ありません。これでまた安心してお乗りいただけます。
ご依頼ありがとうございました。