浜松に在住のレジェンドのお客様です。
走行距離28000kmですが、「もう少し振動が少なくバランスのとれたスムーズなエンジンにしたい」とのことでご来店されたので、今回、通常こちらタイプワンにてS2000、シビック、インテグラでも行われているエンジンオーバーホール精密組み立てを施すことになりました。
さっそくエンジンを下ろします。
狭いエンジンルームに搭載されているV6J35Aエンジンを3人がかりで慎重に下ろします。
下ろしたエンジンの補器類をすべて外し、分解、洗浄、加工を行います。写真左は腰下ですが、ピストントップを見ても、やはり距離が少ないだけあってカーボンの蓄積もそれほど多くはありません。
写真中央はエキゾーストポート。右はインテークです。ポートをよく見ると量産レベルでは段付きや鋳型の跡が残っているのがわかります。これでは乱流が起きてしまい抵抗がなくスムーズな吸気を行うためにはベストではありません。
写真下のように各ポートを丁寧に修正します。
そして次はバルブシートカット。
走行を重ねたバルブシートは、カーボンなどを挟み込み凹凸ができたり、幅が広くなってしまいます。それではバルブの密閉性が失われ燃焼室の高い圧縮を保つことはできなくなります。
写真左のようにシートカッターで修正し測定しながら適正な幅に復元します。
最後にバルブは新品を使用し、光明丹であたりを見ながらすり合わせを行います。
腰下で重要なことはバランスです。
STDを分解し、各気筒のムービングパーツ(ピストン、コンロッド、ピストンピン)の重量を測定したところ5gのばらつきがありました。
1分間に数千回転するエンジンにとって、5gのばらつきは非常に大きいものとなってしまいます。
ですので写真右のようにピストン、コンロッド、ピンを新品を使用して6気筒とも全て1/100g単位で、今回は975.10gに重量をあわせました。
こうして熟練のメカニックによって加工を施されたパーツが丁寧に組み上げられ、J35Aエンジンオーバーホールの完了です。
補器類も全て洗浄し取り付けて、エンジン換装終了。
エンジンをかけてみると、オーバーホールする前と比べて、あきらかにエンジンの粗雑な振動は少なく、スムーズに回っている印象。
試乗してみると、エンジンの回転が軽く、トルク感が増して扱いやすくなった感じです。
今回のオーバーホール作業は約一か月かかってしまい、大変お待たせしてしまいましたが、今週末やっと納車とな
ります。
スムーズになったレジェンド、楽しみにしていてくださいね!